【書きやすいエッセイ】書きやすいエッセイ教室 2022.6.23「ウルフのバトン」
1882年ロンドン生まれの女流作家ヴァージニア・ウルフは自著の中でこう言いました。「女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分ひとりの部屋を持たねばならない※1」。 このフレーズに体の内からみなぎる力を感じた私は、 強い思いは願えば叶う。 ウルフの言葉と出合った直後、夫の単身赴任が決まったことで私は自分ひとりの部屋を得ました。物書きで食べていく人になる、と自分の中に揺るがない柱も一本立ちました。あれから5年。ひとりの部屋に次いでウルフの言葉の「お金」を稼ぐステージにいよいよ私は今立っています。
自分ひとりの部屋がほしい!!と猛烈に熱烈にたぎる気持ちを沸かせました。
イギリスの中流階級の一般女性たちがようやくものを書き始めたのは18世紀末のこと。ウルフはそれをひどく讃えて彼女たちこそが後世のジェイン・オースティンやブロンテ姉妹、ジョージ・エリオットらに、女流作家になる道を歩ませたのだと絶賛します。 「一年に五百ポンド、みなさんの才覚で稼ぎ出してください※2」。これもウルフの言葉です。「みなさんの才覚」の部分に心温められて今日までやってこれました。 秀でる主婦は疎まれるもの。それは過去の自分の経験上と古からの女性のセオリー。それならいっそ突き抜けてしまいなさいとウルフの励まし。よし、一年に五百ポンド、自分の才覚で稼ぎ出して見せましょう!
「執拗なくらい性別を意識させられる時代※3」にあって女性の自分ひとりの部屋の必要性を解いたウルフと、そうしないで済む時代にあって自分ひとりの部屋を内心罪悪と感じ続けた自分との、差異が徐々に埋まっていくのを感じる快感。それは目の眩むような喜びです。
ウルフは享年59歳。1941年3月28日にコートを羽織りポケットに石をつめて自宅近くのウーズ川で入水自殺。遺骨はサセックス州ロドメルにある自邸モンクス・ハウスの庭のニレの木の下に埋葬されました。 ウルフから受け取った、バトンを右から左手に持ち替え尊き彼女の意匠を、令和の時代に今、伝えたい。(完)
・出典:ヴァージニア・ウルフ著、片山亜紀訳『自分ひとりの部屋』
※1)10貢 ※2)116貢 ※3)171貢
・参考サイト:フリー百科事典ウィキペディア ヴァージニア・ウルフ
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こんにちは、かもりちあきです。 私は、お話に必ずお香が登場する小説を書く。 お香小説家を目指しています。 所属している小説グループ「プロ作家養成サロン」に、 毎日投稿している記事をまとめたものものがこ ...
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